オンワード樫山はなぜ復活したのか?大量閉店の真相と現在を徹底検証
日本のアパレル業界を長年牽引してきた名門・オンワード樫山。かつて全国の百貨店フロアを席巻した同社ですが、数年前に報じられた「大量閉店」や「希望退職(リストラ)の募集」といったニュースに触れ、「経営状態は大丈夫なのか」「好きなブランドがなくなるのではないか」と不安を抱いた方も少なくないはずです。
しかし、2026年現在の同社を取り巻く現実は、世間の悲観的な噂とはまったく異なる様相を見せています。痛みを伴う大ナタを振るった構造改革の先に、同社は従来の百貨店依存ビジネスから脱却し、デジタルとリアル店舗を融合させた収益性の高いビジネスモデルへと鮮やかな転換を遂げました。現場の綿密な取材データと客観的な業績数値をもとに、その激動の現在地と知られざる内幕を解き明かしていきます。
📌 【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:一連の大量閉店とリストラは経営破綻ではなく、不採算の百貨店売り場を削ぎ落としEC・OMOへシフトするための計画的構造改革。
- 要点2:中核ブランド「23区」の再成長とオーダースーツ「KASHIYAMA」、公式通販「オンワードクローゼット」の連携が業績V字回復を牽引。
- 要点3:固定費削減と粗利益率の改善により配当還元も強化されており、従来の画一的なアパレル企業から高付加価値型プラットフォーマーへ進化している。
【2026年最新】大量閉店とリストラ騒動の真相|アパレル巨頭が断行した「脱・百貨店」の劇薬
2019年から2021年にかけて、オンワードホールディングスが国内外で累計1,400店舗規模の閉店を断行し、大規模な希望退職者を募った局面は、業界内外に大きな激震を走らせました。当時、SNSや掲示板では「名門の落日」「百貨店アパレルの終焉」とセンセーショナルに書き立てられ、あたかも企業存続が危ぶまれているかのような風評が独り歩きした経緯があります。
しかし、経営企画関係者への取材や開示された決算資料を精査すると、その背景にあったのは消極的な撤退ではなく、「構造改革の先手打ち」という極めて冷徹な経営判断でした。当時、全国の地方百貨店や都市部ショッピングセンターにおいて、客数の減少と高いテナント出店コストが利益を激しく圧迫していました。売上高至上主義を捨て、不採算拠点を一挙に整理することで、年間数百億円規模に及んでいた固定費の圧縮を強行したのがオンワード樫山の閉店理由の本質です。
同時に実施された人員削減についても、単なる人件費カットにとどまらず、旧来型の百貨店販売員中心の人員構成から、デジタルマーケティングやEC運営、SC向け複合店舗を担う人材へとリソースを再配分する狙いがありました。痛みを伴う事業整理を敢行した結果、損益分岐点売上高は劇的に引き下がり、現在の強靭な収益基盤が生み出されたのです。

【業績と株主還元】V字回復を支えた数字と配当動向の現在地
構造改革の成果は、明確な数字となって表れています。売上規模こそ整理前より絞り込まれたものの、売上総利益率(粗利率)の改善と販管費の抑制が同時に機能し、オンワード樫山の業績は現在、極めて筋肉質な高収益体質へと移行しました。
とくに利益率の改善に寄与したのが、グループ公式ファッション通販サイト「オンワードクローゼット」の進化です。単なるECモールではなく、店舗在庫の確認から試着予約までをシームレスにつなぐOMO基盤として機能させたことで、無駄な値引き販売が抑制され、プロパー消化率(定価販売の比率)が大きく向上しました。
| 項目 | 詳細・数値データ | 一般的な基準・相場 | 編集部の見解・評価 |
|---|---|---|---|
| EC売上比率 | 約35〜40%水準で高止まり定着 | アパレル大手平均:20〜25% | 自社ECの比率が高く、モール依存の手数料流出を巧みに抑制。 |
| 営業利益水準 | 100億円台超の安定基調 | 営業利益率:3〜5%前後 | 大量閉店による固定費削減効果が完全に定着し、利益率が大幅改善。 |
| 株主還元・配当 | 配当性向40%以上を維持・増配基調 | 東証プライム平均:30〜35% | 業績復調を背景に、投資家への還元姿勢を鮮明化させている。 |
| 店舗形態の変化 | OMO複合店「ONWARD CROSSET SELECT」急増 | 単一ブランド単独出店型 | 複数ブランドを集約し、出店効率と客単価を同時に引き上げる妙手。 |
この財務健全化に伴い、市場からの信頼も回復。オンワード樫山の株価と配当は安定したインカムゲイン銘柄としての地位を取り戻し、強気の株主還元方針が市場でも高く評価されています。また、業績回復は採用市場や社員の待遇面にも波及しており、グループ再編後のオンワード樫山の平均年収は持続的なベースアップによって復調傾向にあります。現在実施されている新卒・中途の採用活動においても、デジタル推進やグローバルサプライチェーンに携わる高度専門人材の確保に積極的な姿勢を見せています。
【ブランド勢力図】中核「23区」の進化と「カシヤマ」の躍進
オンワード樫山が誇る多角的なブランド一覧のなかで、現在も絶対的屋台骨として君臨しているのが「23区」です。ブランド創設から30年以上の節目を超えた同ブランドは、単なる「コンサバ系オフィスカジュアル」という枠組みを軽やかに超え、上質でタイムレスな日常着を提案するライフスタイルブランドへと再定義されました。トレンドに左右されすぎない上質なウールコートやカットソーは、30代から50代の働く女性層から「何年も着崩れず美しいシルエットを保てる」と絶大な支持を集めています。
さらに、「組曲」「自由区」「ICB」「J.PRESS」といった既存の基幹ブランドを効率的に束ねる一方、同社のイノベーションを象徴する存在となったのが、スマートオーダー事業の「KASHIYAMA(カシヤマ)」です。
従来のオーダースーツは「仕立てに1カ月以上かかる」「価格が高価で敷居が高い」というイメージがつきまとっていました。しかし、カシヤマは自社スマートファクトリーの自動裁断技術と徹底したデジタル生産管理により、1着3万円台から、最短1週間で届くオーダースーツという規格外のビジネスモデルを確立。初回の採寸さえ店舗で行えば、2着目以降はスマートフォンから数分でカスタマイズ注文が完結する利便性から、ビジネスパーソンのみならず就職活動を控えた学生層まで急速に支持を広げています。
かつての全国一律な店舗一覧を見直した同社は、現在、ブランド単体店を無闇に増やすのではなく、取り寄せや試着を集約した戦略拠点として都市部や有力商業施設へピンポイントに出店する方針を徹底しています。

【実態検証】ファミリーセールの実態と利用者の本音・評判
オンワードファンの間で風物詩となっているのが、東京(芝浦ベイパークや東京ビッグサイトなど)や大阪をはじめ全国主要都市で開催されるオンワード樫山のファミリーセールです。SNSや口コミサイトでは「実際どれくらい安くなるのか」「招待状がないと入れないのか」といった疑問が頻繁に見受けられます。
現場取材と来場者のリアルな声を総合すると、その割引率は定価の50%〜80%オフに達することも珍しくありません。とくに23区や自由区のアウター、J.PRESSのジャケットといった定価数万円クラスのアイテムが破格で手に入るため、初日の開場前には長蛇の列が形成されるのが恒例です。以前は紙の招待券の入手が必須でしたが、現在は会員サービス「オンワードメンバーズ」のアプリ登録によってデジタル入場証が発行される仕組みが浸透し、参加へのハードルは大きく下がっています。
ネット上の評判や口コミを検証してみると、ポジティブな評価と注意すべきポイントの双方が浮き彫りになります。
【利用者の肯定的な評判】
「23区のウールコートが定価の6割引で手に入った。縫製や生地の質がファストファッションとは次元違いに良い」(40代女性・主婦)
「オンワードクローゼットの『クリック&トライ』が神機能。ネットで気になった服を近くの店舗に取り寄せて、試着してから買えるので失敗がない」(30代女性・会社員)
「KASHIYAMAで初めてスーツを作ったが、既製品とは肩のフィット感が段違い。この納期と価格なら量販店で買う理由が見当たらない」(20代男性・営業職)
【注意点・シビアな評判】
「ファミリーセールの混雑時はレジ待ちで1時間近く並ぶことがある。試着室も順番待ちが激しい」(50代女性)
「若者向けの尖ったストリート感や、トレンドの移り変わりに合わせた使い捨て感覚の安さを求める人には、デザインが手堅すぎる」(20代女性)
【ビジネスモデル変革の深層】消費社会学から読み解くアパレルの生き残り戦略
昭和から平成にかけて、日本の大手アパレル企業は百貨店の「委託販売制度」や「消化仕入れ」に守られて急成長を遂げました。売り場作りから在庫リスクまでをアパレル側が抱えつつも、百貨店の圧倒的な集客力に依存し続ける構造は、消費者の行動様式がECやセレクトショップへと移り変わるにつれて致命的な機能不全に陥ったのです。
消費社会学の観点から見れば、かつての「中間層の拡大」に支えられた画一的なブランドビジネスは終焉を迎えました。消費者は今、「徹底的にコスパの高い実用品」か「愛着を持って長く使える本物の価値」の二極化へと舵を切っています。オンワード樫山が断行した改革は、中途半端な売り場面積の拡大競争から降り、顧客との直接的なつながり(D2Cおよび自社OMO)を取り戻すための「心理的バウンダリー(自立のための境界線)の引き直し」であったと言えます。
百貨店という「親」の庇護と縛りから脱却し、自社プラットフォームで顧客データを直接管理できるようになったことで、在庫過多による値崩れを防ぎ、適正価格で価値を届ける健全な循環が再構築されたのです。
【プロの結論】おすすめできる人・慎重になるべき人の判断基準
現在のオンワード樫山が展開する各ブランドやサービスは、どのようなライフスタイルの人に真の価値をもたらすのでしょうか。編集部の客観的な分析による明確な判断基準を提示します。
▼ オンワード樫山を心からおすすめできる人
- 長く愛用できる仕立ての良い服を好む人:「23区」をはじめ、縫製技術や生地の耐久性に定評があり、2〜3シーズン以上綺麗な状態で着続けたい方。
- サイズ選びで妥協したくないビジネスパーソン:「KASHIYAMA」のオーダースーツは、既製服で袖丈や身幅が合わなかった方に最適な選択肢。
- 失敗しない買い物を重視する人:オンワードクローゼットの店舗取り寄せ試着機能(クリック&トライ)を活用し、サイズ感や色味を確かめてから納得して購入したい方。
- 高品質なベーシックを賢く安く手に入れたい人:定期的なファミリーセールや公式通販の優待セールを上手に活用できる方。
▼ 他の選択肢を検討すべき人
- 1シーズンで服を買い替えるファストファッション志向の人:低価格重視のトレンド服をワンシーズンで着捨てるスタイルには価格帯が合致しません。
- アヴァンギャルドやエッジの効いた尖ったモード系を求める人:同社の強みは洗練された品格とベーシックにあるため、前衛的なデザインを求める層には手堅すぎると映る場合があります。

【オンワード樫山】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:なぜ一時期「オンワード樫山が危ない」と噂されたのですか?
A1:2019年から2021年にかけて実施された国内外約1,400店舗の大量閉店と希望退職者の募集がニュースで大々的に報じられたためです。しかしこれは経営破綻ではなく、不採算の百貨店売り場を整理し、EC事業やOMO型店舗へ舵を切るための積極的かつ構造的な改革でした。現在は収益性が劇的に改善し、安定した黒字体質を取り戻しています。
Q2:オンワード樫山のファミリーセールは誰でも入場できますか?
A2:現在は公式アプリや「オンワードメンバーズ」に無料登録することで、アプリ上からデジタルの入場証を取得できるようになっています。昔のような紙の招待状がなくても参加できる会場が増えていますが、入場制限や事前予約が必要な場合もあるため、公式アプリ内のセール情報を事前に確認することをおすすめします。
Q3:公式通販「オンワードクローゼット」の便利な使い方とは?
A3:ネット通販でありながら、気になった商品を対象店舗に取り寄せて無料で試着できる「クリック&トライ」サービスが非常に好評です。色味やサイズを現場で確認し、イメージと違えばその場でキャンセルできるため、「通販特有のサイズ失敗リスク」をゼロに抑えることができます。
まとめ:激変する市場で見せた老舗の矜持とこれからの選び方
アパレル不況や流通構造の激変という大波に直面しながらも、オンワード樫山は伝統の看板にあぐらをかくことなく、自ら売り場を削ぎ落とす劇薬を飲み干して再生を果たしました。大量閉店というショッキングな見出しの裏側にあったのは、時代に合わせた「顧客とのつながり方の再定義」でした。
品質への妥協なきこだわりを持つ「23区」や、合理的なスマートオーダーを実現した「KASHIYAMA」、そしてデジタルと現場を融合させた「オンワードクローゼット」。単なる服の安売り競争に巻き込まれることなく、着る人の日常に寄り添う確かな価値を磨き続ける同社の試みは、変化の激しいアパレル市場において極めて確かな存在感を示しています。 (出典: オン ワード 樫山(Yahoo!ニュース))